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ダイキャストの精度は?ダイキャストのメリット・デメリットも解説

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ダイキャストの精度は?ダイキャストのメリット・デメリットも解説

製造業において、金属部品の量産に欠かせないダイキャスト。高い生産性と優れたコストパフォーマンスで知られていますが、精度面での特性を正確に理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では、ダイキャストの精度について解説するとともに、メリット・デメリットまでご紹介します。

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ダイキャストとは?

ダイキャストとは、溶融金属(溶けた金属)を精密な金型に高圧で注入し、短時間で目的の形状に成形する鋳造(ちゅうぞう)方法の一つです。

この製法は、高い生産性と優れた寸法精度、複雑な形状の部品を効率的に製造できる点が特徴です。主にアルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金といった非鉄金属が材料として用いられます。

自動車部品、電子機器の筐体、カメラ部品など、高い品質とコスト効率が求められる製品の製造に幅広く活用されています。
 

ダイキャストの精度はどのくらい正確か

ダイキャストは、高い寸法精度と優れた鋳肌(表面の仕上がり)を実現できる製造方法であり、特に量産品において安定した品質が求められる部品製造に適しています。

寸法精度・鋳肌の精度

ダイキャストは、精密な金型を用いることで、非常に高い寸法精度と滑らかな鋳肌を実現します。これは、溶融金属を高圧で金型に射出するため、金型の形状を忠実に再現できるためです。

寸法精度

ダイキャストで得られる寸法精度は、一般的に±0.05mmから±0.2mm程度とされていますが、部品のサイズや形状、金型の精度、使用する材料によって変動します。

特に、同一ロット内での部品間のバラつきが非常に少なく、高い再現性が特徴です。

これにより、後加工(切削や研磨など)の工程を大幅に削減できるか、場合によっては不要にすることができます。

鋳肌の精度

鋳肌の精度は、表面粗さで評価され、ダイキャストではRa0.8μm~Ra3.2μm程度の滑らかな表面を得ることが可能です。

これは、金型内での冷却速度が速く、金属が金型の表面に密着して固まるためです。この滑らかな表面は、塗装やめっきなどの表面処理が容易になるだけでなく、製品の美観向上にも寄与します。

どのくらい正確?他の作り方との比較

ダイキャストは、他の金属加工方法と比較して、高い精度と効率性を両立できる点が大きな特徴です。特に、量産時の寸法安定性において優位性があります。

他の主な金属加工方法とダイキャストの精度を比較すると、以下のようになります。

加工方法 寸法精度(一般的な目安 表面粗さ(一般的な目安 特徴
ダイキャスト ±0.05mm~±0.2mm Ra0.8μm~Ra3.2μm 高い寸法精度と滑らかな鋳肌を両立。量産性に優れる。
切削加工 ±0.01mm~±0.05mm Ra0.1μm~Ra1.6μm 非常に高い精度が得られるが、加工時間とコストがかかる。
砂型鋳造 ±0.2mm~±2.0mm Ra3.2μm~Ra12.5μm 比較的低い精度。後加工が必須となる場合が多い。
ロストワックス鋳造 ±0.2mm~±0.5mm Ra3.2μm~Ra6.3μm 複雑な形状を高精度で製造可能だが、コストは高め。

この比較からわかるように、切削加工には及ばないものの、鋳造方法の中ではダイキャストが最も高い寸法精度と優れた表面品質を実現します。特に、複雑な形状の部品を大量生産する際に、後加工の手間を最小限に抑えながら、安定した品質の製品を供給できる点がダイキャストの大きな強みです。
 

ダイキャストのメリット

ダイキャストは、高い生産性、優れた寸法安定性、そして美しい表面仕上がりを特徴とする製造方法です。これにより、製品の品質向上と製造コストの削減に大きく貢献します。

高い生産性と量産効率

ダイキャストは、高速かつ連続的な生産が可能であり、大量生産において非常に高い効率を発揮します。溶融金属を高圧で金型に射出するため、短時間で複雑な形状の部品を成形できます。

これにより、製造サイクルタイムが短縮され、単位時間あたりの生産量が増加し、結果として大量生産時のコストを大幅に抑えることが可能です。

優れた寸法安定性と再現性

ダイキャストは、一度金型が作られると、製品ごとに極めて高い寸法精度と安定した品質を繰り返し実現できます。金型が非常に精密に作られているため、射出された金属が金型の形状を忠実に再現し、ばらつきの少ない均一な製品を供給することが可能です。

これは、特に高い精度が求められる部品の製造において重要なメリットとなります。

表面仕上がりの良さ

ダイキャストで製造された製品は、滑らかで美しい表面仕上がりを持つため、後工程での加工を大幅に削減できます。金型の表面を鏡面加工することで、成形された製品の表面も同様に滑らかになり、研磨や切削などの二次加工が不要、または最小限で済みます。

これにより、製造コストの削減だけでなく、製品の外観品質向上にも寄与します。
 

ダイキャストのデメリットと注意点

ダイキャストは高い精度と生産効率を実現する一方で、いくつかのデメリットも存在します。特に、初期投資の高さや小ロット生産への不向きが主な注意点となります。

初期投資(金型費用)が高い

ダイキャストの最大のデメリットの一つは、金型製作にかかる初期投資が非常に高額であることです。ダイキャストは溶融金属を高圧で金型に射出するため、金型には高い強度と耐久性が求められます。このため、金型の設計、材料選定、精密加工には高度な技術と時間がかかり、結果として製作費用が高くなります。

この高額な金型費用は、製品の総コストに大きく影響し、特に生産量が少ない場合にはコスト回収が困難になる可能性があります。

小ロット生産には不向き

前述の通り、ダイキャストは金型費用が高いため、生産する製品のロット数が少ない場合には経済的に不利になります。金型費用を製品単価に分散させるためには、ある程度の生産量が必要です。

そのため、試作品の製作や少量生産の場合には、切削加工や3Dプリンターなど、金型を必要としない他の製造方法の方がコスト効率が良いことが多く、ダイキャストは大量生産に適した製造方法と言えます。
 

よくある質問

Q. ダイキャストの精度が高い理由は?

A. ダイキャストが高精度である主な理由は、精密に加工された金属製の金型を使用し、溶融金属を高圧で金型内に充填する製造プロセスにあります。これにより、複雑な形状でも高い寸法精度と優れた表面仕上げを安定して実現できます。

Q. ダイキャストの欠点・デメリットは?

A. ダイキャストの主な欠点・デメリットは、金型製作にかかる初期投資が非常に高額である点と、そのため小ロット生産には経済的に不向きである点です。また、製品の肉厚に制限があることや、内部に鋳巣(きゅうす)と呼ばれる空洞ができやすいといった注意点もあります。
 

まとめ

本記事では、ダイキャストが持つ高い寸法精度と優れた生産性、その一方で課題となりがちな初期投資などについて解説しました。

しかし、「ダイキャストで高精度な量産を実現したいが、コストが障壁になっている」「試作は行ったが、ロット数が読めずダイキャストに踏み切れない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

プロテックジャパンでは、高精度ダイキャストの単なる製法のみではなく、お客様の「試作から量産まで」をトータルで最適化できます。

金型のコスト、施策からの移行、製法の選定など、お困りのことがある方はお気軽にご相談ください。お客様のニーズに最適な「ものづくり」をご提案します。

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