
鋳造工程において複雑な形状の製品を製造する際、内部に空洞や穴を形成するために欠かせないのが「中子(なかご)」です。
本記事では、中子の基本的な概念から製造方法、鋳造における役割まで、わかりやすく解説します。
中子(なかご)とは
中子(なかご)とは、鋳造工程において、製品内部に空洞や穴を形成するために鋳型内に配置される型のことです。
溶融金属が中子の周囲に流れ込み、冷却・凝固することで、中子に沿った内面形状を持つ製品が完成します。これにより、一体成形では不可能な複雑な内部構造や軽量化を実現し、製品の機能性や性能を向上させることが可能になります。
鋳造工程における中子の役割
中子の主な役割は以下の通りです。
複雑な内部形状の実現
エンジンブロックの冷却水路や油路、ポンプケーシングの流路など、一体成形では困難な複雑な内部構造を形成します。これにより、設計の自由度が大幅に向上し、より高性能な製品開発に貢献します。
製品の軽量化
不要な肉厚を削減し、中空構造にすることで、製品全体の軽量化に貢献します。これは、自動車部品や航空機部品において、燃費効率の向上や運動性能の改善に直結する重要な要素です。
機能性の向上
内部構造を最適化することで、流体の流れをスムーズにする、熱交換効率を高めるなど、製品本来の機能性を最大限に引き出します。結果として、製品の付加価値を高め、競争力を強化します。
材料コストの削減
無駄な材料を使用しないことで、原材料費の削減に繋がります。これは、製造コスト全体の最適化に寄与し、経営的なメリットをもたらします。
中子が必要とされる理由
現代の製造業において中子は、複雑な内部構造の実現による製品の高性能化や軽量化を可能にし、後加工の削減を通じて製造コストの低減と生産効率の向上に大きく寄与します。
さらに、一体成形による高い気密性と強度の維持が製品の信頼性を高めるため、単なる補助部品を超えて市場競争力を左右する極めて重要な役割を担っています。
中子と鋳型の違い
中子と鋳型は、どちらも鋳造において製品の形状を形成する型ですが、その役割には明確な違いがあります。
- 鋳型(いがた):溶融金属を流し込み、製品の「外形」を形成する型です。砂型、金型、石膏型など様々な種類があります。鋳型の品質は、製品の外観品質や寸法精度に直接影響します。
- 中子(なかご):鋳型の中に配置され、製品の「内形」や「空洞」を形成する型です。中子の品質は、製品の内部構造の精度や機能性に大きく影響します。
つまり、鋳型が製品の外枠を作り、中子がその内部空間を定義することで、目的とする複雑な形状の鋳造品が完成します。両者は密接に連携し、互いの精度が最終製品の品質に大きく影響するため、どちらか一方の品質が欠けても高品質な製品は得られません。
中子の種類と特徴
中子には、使用する材料や製造方法によって様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。製品の要求される精度、複雑性、生産量、コストなどに応じて最適な中子を選択することが、品質とコスト効率の両面で重要となります。
砂中子
珪砂と結合剤で成形される砂中子は、低コストで複雑・大型な形状にも柔軟に対応できる、最も汎用性の高い中子です。鋳造後の崩壊性が良いため製品からの除去が容易で、後工程のコストを抑えられるメリットがあります。自動車のエンジンブロックから一般機械部品まで、幅広い分野の製造を支えています。
金属中子
金型鋳造やダイカストで使用される金属中子は、繰り返し使用が可能なため、大量生産における優れた生産性とコスト効率を実現します。高い寸法精度と滑らかな表面仕上げに加え、熱伝導率の高さを活かした凝固速度の制御により、製品の強度を最適化できるのが強みです。主にトランスミッションケースなどの高精度な自動車部品に採用されています。
シェル中子
樹脂をコーティングした砂を加熱硬化させるシェル中子は、その名の通り薄肉の中空(殻状)構造を持ち、製品の軽量化と高精度な表面品質を両立します。ガスの発生が少なく鋳巣(内部の空洞)などの欠陥を抑制できるため、マニホールドやバルブといった気密性と精密さが求められる重要部品の製造に適しています。
セラミック中子
圧倒的な耐熱性を誇るセラミック中子は、航空機のタービンブレードなど、高融点合金を用いた精密鋳造(インベストメント鋳造)に不可欠な存在です。他の材料では不可能なほど微細で複雑な内部通路を形成でき、高い寸法精度を維持します。航空宇宙や医療機器など、極めて高い信頼性が要求される特殊分野で活用されています。
中子の製造方法
中子の品質は、最終的な鋳造品の品質を大きく左右するため、その製造工程には厳格な管理が求められます。ここでは、主に砂中子を例に、その製造方法を解説します。
中子砂の調整と配合
中子砂は、珪砂を主成分とし、これに様々なバインダー(結合剤)や添加剤を配合して作られます。中子砂に求められる特性は、以下の通りです。
- 強度:溶融金属の圧力に耐え、変形しないこと。これにより、製品の寸法精度が保たれます。
- 通気性:鋳造時に発生するガスを外部に効率良く排出できること。ガス抜きが不十分だと、鋳巣などの欠陥が発生しやすくなります。
- 崩壊性:鋳造後に容易に崩れて製品から除去できること。崩壊性が悪いと、中子除去に手間とコストがかかります。
- 耐熱性:高温の溶融金属に触れても変質しないこと。変質すると、鋳造品の表面品質や寸法精度に悪影響を与えます。
これらの特性をバランス良く持たせるために、砂の種類、粒度、バインダーの種類(有機系、無機系)、配合比率が厳密に調整されます。当社の長年の経験とノウハウが、最適な中子砂の配合を可能にしています。
中子造型の工程
中子造型は、調整された中子砂を中子型(金型)に充填し、固める工程です。主な造型方法には、以下のものがあります。
- コールドボックス法:砂とバインダーを混合し、金型に充填後、特定のガスを吹き込んで化学反応により常温で硬化させる方法。短時間で硬化し、高い生産性を実現します。環境負荷の低減にも貢献します。
- シェルモールド法:レジンコーティングされた砂を加熱した金型に吹き付け、熱硬化させる方法。高い寸法精度と優れた表面品質が得られるため、精密部品の製造に適しています。
- 熱硬化法(ホットボックス法):バインダーを混合した砂を加熱した金型に充填し、熱によって硬化させる方法。高い強度と安定した品質が特徴です。
当社では、お客様の製品に要求される仕様(精度、生産量、コストなど)に応じて最適な造型方法を選定し、高品質な中子を製造しています。
中子の硬化方法(ガス硬化法・熱硬化法)
中子を固める方法には、主にガス硬化法と熱硬化法があります。
ガス硬化法
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- 特徴:常温で硬化が進むため、型の加熱が不要です。硬化時間が短く、生産性に優れます。複雑な形状にも対応しやすく、エネルギーコストの削減にも繋がります。
- 例:コールドボックス法(アミンガス、SO2ガスなどを使用)。
熱硬化法
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- 特徴:加熱によりバインダーを硬化させる方法です。高い強度と寸法安定性が得られ、特に精密な鋳造品に適しています。
- 例:シェルモールド法、ホットボックス法。
これらの硬化方法を適切に選択・管理することで、中子の強度、精度、ガス発生量などを最適化し、鋳造品の品質向上に貢献します。当社は、これらの技術を熟知し、製品特性に合わせた最適なプロセスを提案します。
中子の検査と品質管理
中子は鋳造品の品質を直接左右するため、厳格な検査と品質管理が不可欠です。主な検査項目は以下の通りです。
- 寸法精度:設計図面通りの寸法が確保されているか、三次元測定器などを用いて厳密に確認します。
- 強度:溶融金属の圧力に耐えうる十分な強度があるか、圧縮強度試験などにより評価します。
- 表面状態:欠け、ひび割れ、異物混入がないか、目視検査や画像検査で確認します。
- 通気性:ガス抜きが適切に行われるか、通気度試験などにより評価します。
- 崩壊性:鋳造後の除去が容易か、溶解性試験などで確認します。
当社では、これらの項目について徹底した検査体制を敷き、長年の経験と最新の技術を組み合わせることで、高品質な中子製造を実現しています。これにより、お客様の製品品質向上と生産効率化に貢献し、経営リスクの低減をサポートします。
まとめ
本記事では、鋳造工程において複雑な内部形状や空洞を実現するために不可欠な「中子」について、その基本的な概念から種類、製造方法、そして鋳造における重要な役割までを解説しました。
当社は、創業100年を越える金属・樹脂等の金型設計・加工技術力を背景に、お客様の多様なニーズにお応えする鋳造ソリューションを提供しております。小ロットから量産まであらゆる顧客ニーズにお応えできる製造体制を整え、高品質な中子を用いた精密鋳造技術で、お客様の製品開発を強力にサポートいたします。
鋳造に関するご相談や、より複雑な内部構造を持つ製品の製造をご検討の際は、ぜひ当社までお問い合わせください。
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