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超音波溶着の原理とは?メリットや種類も解説

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超音波溶着の原理とは?メリットや種類も解説

製造業の組み立て工程では、樹脂部品をネジや接着剤なしで固定する方法があります。それが「超音波溶着」です。自動車部品、電子機器、医療機器、食品パッケージなど、精密さと信頼性が求められる最先端の製造現場で欠かせない存在となっています。

この記事では、そんな「超音波溶着」について、基本的な原理や装置の構成、加工の種類、導入するメリットまで詳しく解説します。

超音波溶着の原理

超音波溶着は、素材に高周波の振動と圧力を加える技術です。接合面を局所的に溶かして一体化させます。外部から熱を加える一般的な熱溶着とは仕組みが異なり、素材そのものを発熱させる点に大きな特徴があります。

摩擦発熱と融解

超音波溶着において、接合部が溶ける理由は「摩擦熱」にあります。装置から発生した超音波振動が部品に伝わると、接合面で1秒間に数万回もの細かな摩擦が発生します。

この運動エネルギーが熱に変換され、樹脂の融点まで一瞬で上昇します。同時に加圧機構が上から圧力をかけ続けるため、溶けた樹脂同士が混ざり合い、冷却を経て強固に結合します。接合部のみを発熱させるため、エネルギー効率にも優れています。

周波数による違い

周波数は主に15kHzから60kHzの範囲にあり、その数値によって適した部品が変わります

低い周波数(15kHz〜20kHzなど)は、振幅を大きくできるのが特徴です。エネルギーが奥まで伝わりやすいため、厚みのある成形品同士の接合に向いています。この手法は「伝達溶着」と呼ばれています。

一方で、高い周波数(40kHz〜60kHzなど)は、微細で繊細な振動を与えることができます。電子部品の内部や薄いフィルム、小さなプラスチックパーツなど、過度な衝撃や振動を与えたくない精密な製品の接合に用いられます。製品の形状に合わせて適切な周波数を選ぶことが、品質を保つポイントです。

超音波溶着機の基本構成

正確な加工を行うため、電気エネルギーを機械振動に変換する専用装置が必要です。溶着機は主に5つの要素で構成されています。

発振器

発振器は、商用電源を加工に必要な高周波に変換する装置です。いわば溶着機の心臓部にあたります。近年の装置には、周波数を微調整する「自動追尾回路」が搭載されています。また、振動幅を一定に保つ「定振幅回路」も備わっているのが特徴です。こうした装置により、環境が変化しても常に一定のエネルギーを安定供給できます。

振動子

振動子は、高周波の電気エネルギーを、物理的な縦振動に変換するコンバーターです。内部には、電圧で伸縮する圧電セラミックス(PZTなど)が組み込まれています。

この素子を金属ブロックで挟み、ボルトで締め付けた構造が一般的です。発生する伸縮距離は数ミクロンと極めて小さなものですが、 後続の工程で増幅されることで加工に必要なパワーへと変わります。

ブースター

ブースターは、振動子で発生した微細な振動の「振幅」を調整する変幅器です。形状の比率を変えることで、振動の増幅や減衰を行います。

対象となる樹脂の種類や形状によって、溶着に必要な振幅は異なります。ブースターの交換、または調整を行うことで、後述する工具ホーンへ伝えるエネルギーの強さを最適化し、加工の再現性を高めます。

工具ホーン

工具ホーンは、ブースターからの振動を最終増幅し、製品に直接接触してエネルギーを伝える金属製の治具です。素材にはチタン合金やアルミニウムなどが用いられます。

製品の形状に合わせたオーダーメイド設計が基本であり、振動が均一に伝わるように高度な音響設計が施されます。接触面にはエネルギー集中を目的とした溝(ローレット加工)を施す場合もあります。

受け治具

受け治具(アンビル)は、製品を下から支えて位置を固定する台座です。工具ホーンによる圧力や振動で製品が変形・移動するのを防ぐため、製品の裏面形状に合わせて作られます。ホールドが不十分だと、振動エネルギーが周囲に逃げて、接合面が十分に発熱しなくなります。確実な加工を行うためには、工具ホーンだけでなく受け治具の設計精度も重要です。

超音波溶着の種類

超音波溶着機は、樹脂同士の接合だけでなく、振動特性を応用したさまざまな加工に対応できます。

樹脂同士の接合

熱可塑性樹脂のパーツ同士を重ね、接合面を溶かして一体化させる標準的な手法です。自動車のランプハウジングや各種容器の組み立てに採用されています。この手法では、あらかじめ接合面に「エネルギーディレクタ」という小さな突起を設けるのが一般的です。突起に振動を集中させて一瞬で溶かすことで、強固に接合できます。

インサート

樹脂製品の穴に、金属製のネジインサートを振動させながら圧入する技法です。摩耗しやすいネジ穴の補強に用いられます。振動によって金属と接触する樹脂が局所的に溶け、ネジの溝に流れ込んで固まります。これにより、高い固着強度が得られる仕組みです。従来の熱圧入に比べて熱ストレスが少なく、変形を抑えられます。

カシメ

カシメは、樹脂部品の突起を別部品に通し、その先端を工具ホーンで溶かし潰して固定する方法です。直接熱をかける方式に比べ、ピンポイントで樹脂を溶かすことができます。そのため、樹脂の焼けや変色が起きにくいのが利点です。冷却時の収縮も抑えられるため、ガタつきのない固定が可能になります。

チューブシール

チューブシールは、化粧品や食品などのチューブの端を密封する加工です。接合面に液体や粉末などの内容物が付着していても、振動で弾き飛ばしながら溶着できる特徴があります。そのため、内容物によるシール不良が起きにくく、高い密封性を維持できます。また、溶着と同時に余分な端部をカットすることも可能です。

超音波溶着のメリット

超音波溶着には、他の接合方法にはない多くのメリットがあります。

数秒で接合できる

最大の強みは、加工スピードの速さです。工具ホーンの下降から冷却まで、わずか1秒前後、長くても数秒で完了することです。接着剤の乾燥を待つ時間や、ネジ留めの手間がかからないため、作業時間を大幅に短縮できます。動作が単純な上下運動のため、自動化ラインやロボットへの組み込みもスムーズに行えます。これにより、量産時の生産性を大きく高められるでしょう。

高い気密性で液漏れを防ぐ

接合面全体が均一に溶けて一体化するため、接着剤の塗りムラやネジの緩みが発生しません。そのため、高い気密性を確保できます。液体を保管する容器や、防水性のある電子機器、医療用フィルターなど、厳しい品質基準が求められる製品に適しており、漏れや空気漏れを確実に防ぐ接合手段として、多くの現場で導入されています。

バリや焼けを抑える美観

接合面のみをピンポイントで発熱させるため、製品全体にかかる熱ダメージを最小限に抑えられます。その結果、樹脂が変色したり焦げたりする「焼け」を防ぐことが可能です。

また、エネルギーのコントロールが精密に行えるため、過剰に樹脂が溶け出す「バリ」の発生も抑制可能です。外観が重視される家電や自動車内装、衛生的な医療機器などで安定した仕上がりが得られます。

まとめ

超音波溶着は、摩擦発熱の原理を利用して、短時間で強固に樹脂を接合できる工法です。一方で、対応できるのは熱で溶ける「熱可塑性樹脂」に限られます。また、部品には高い寸法精度も必要です。

確実な超音波溶着を行うには、単に溶着機の条件を設定するだけでなく、金型の設計や射出成形の段階から、高い寸法精度を維持できる製造ノウハウが必要です。試作段階で入念な条件出しを行い、量産を見据えた部品設計を行うことが不良率低下につながります。

プロテックジャパンは、創業100年を超える歴史の中で培ってきた金型設計・加工技術を活かし、高精度な部品成形から超音波溶着などの二次加工まで小ロット・量産問わず一貫して対応可能です。接合不良や設計でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。

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